

冬の訪れと共に新学期が始まり、倫と杏は、インフィニティ教授の研究チームへの参加が決まっていた。
大学の最先端プロジェクトの一つであるこのチームは、未来のロケット発射方法に革命をもたらすかもしれない"レールガン"式発射システムの開発を進めている。
チームの初会議は、教授のレトロな研究室で行われた。
部屋はホログラムディスプレイで、宇宙飛行の歴史や物理学の偉大な発見を示す映像が流れている一方で、教授のコレクションの太古の遺産で溢れている。
その空間はまるで、人間に近づきたいAIのインフィニティ教授の想いを、具現化しているかのよう。
特に教授のお気に入りの昔の食べ物の剥製コレクションは必見だ。あのオニギリはどう見てもピラミッドにしかみえない。
「皆さん、このプロジェクトへようこそ。今日は、新しい宇宙へのアプローチ、レールガン式ロケット発射システムについてお話しします。
つまり : 𝐹 = 𝑞(𝐸 + 𝑣 × 𝐵)です」インフィニティ教授の声が部屋に響く。
教授は、ホログラムスクリーンを指で軽くタップすると、レールガンの設計図と数学的なモデルが浮かび上がった。
システムは、巨大な電磁レールを使って、宇宙船を高速で加速し、大気圏外へと打ち上げる仕組みを備えている。
「この技術は、従来の化学燃料を使うロケットに比べて、効率が良く、コストも大幅に削減できる可能性があります。
エネルギーはすべて再生可能資源から供給され、宇宙探査の新たな時代を切り開くことに貢献するでしょう」
倫と杏は、教授の説明を聞きながら、その技術の可能性に心を躍らせていた。

チームの最初のタスクは、レールガン発射システムの基本概念を理解し、それをどのように応用できるかを検討することだった。
インフィニティ教授は、具体的な数学的モデルと物理法則を基に説明を進めた。
「このシステムの核心は、電磁力を利用して宇宙船を軌道に乗せることです。
力の式 𝐹 = 𝑞(𝐸 + 𝑣 × 𝐵) は、電場と磁場をどのように利用するかを示しています。ここで、𝑞 は電荷、𝐸 は電場、𝑣 は速度、𝐵 は磁場を表します」
教授が指すホログラムディスプレイには、レールガンの詳細な設計が展開されており、各部の機能が随時解説される。
「ゼンこれどういうこと?」倫がイヤフォン型AIのゼンに耳打ちする。
ゼン「普段の時間学部と違い見慣れない記号が多いですね。簡単に説明すると:
🚀 = ⚡️(🔋 + 💨 x 🧲)ということです」
「わかりやす!」生まれたときから倫と一緒に過ごしているゼンは、どう伝えると倫が1番理解しやすいか世界一理解している。
倫がゼンに関心していると間髪入れずインフィニティ教授が続ける。
「加速度の計算には、次の式を用います。 𝑎 = 𝑣^2 / 2𝑥 です。
ここで、𝑎 は加速度、𝑣 は最終速度、𝑥 はレールガンの長さです。この式から、必要な加速距離を計算することができます。」
ゼン「🚀 = 💨² / 🛤️🛤️」
杏は興味深げにメモを取りながらも、倫は式の導出に少し苦労しているようだった。
しかし、ゼンの補足説明でなんか喰らいつく。
この世界では学びがパーソナライズされていて、みんながそれぞれの方法で学ぶのが当たり前になっている。
そのため1番上のレベルに合わせるインフィニティ教授は厳しくも優しい存在なのだ。
無限のような存在のAI:インフィニティ教授が世界を牽引し、みんなが必死に追いかける。
この世界のイノベーションは"加速膨張"する一方だ。

インフィニティ教授は次に、レールガン式ロケット発射システムの実際の運用についての説明に移った。
「今日は、実際にこのシステムがどのように機能するかを見ていただきたいと思います」
部屋の隅に設置されていたレールガン模型が光を放ち始める。
教授がコンソールのスイッチを入れると、模型のレールの一部が静かに光り、わずかな音を立てて小型のプロジェクタイルが加速された。
一瞬でレールの端まで達し、その運動エネルギーが見るものの息をのむほどだった。
「このデモンストレーションは、基本的な概念を説明するためのものです。
実際の宇宙船を打ち上げる際には、はるかに大規模な設備が必要となりますが、原理は同じです」教授が解説を続ける。
倫と杏はデモンストレーションに魅了されていた。
特に倫は、その技術が実際にどれほどのものなのか、その規模と力に圧倒されていた。
「この技術により、将来的には地球から直接高軌道へ物資を送ることが可能になるかもしれません。
燃料費の削減、環境への負担軽減、そして再利用可能なエネルギーの活用により、宇宙旅行の経済的な障壁が低減されるのです」
杏はノートを取りながらも次々と質問を投げかけ、教授の解説に更に深みを加えていた。
倫も少しずつ理解を深め、この革新的な技術の意義を感じ始めていた。
「そして、このシステムはただの輸送手段に留まらず、エネルギー伝達、資源採掘、さらには宇宙植民地化の道具としても機能する可能性があります」
「未来の宇宙開発がどれほど進化するか、皆さんの努力と創造によって左右されるでしょう」

杏は手を挙げて質問した。
「"ニューラル"の解析も進んでいて、脳がデータになるのも今年か来年だと思いますが、もし脳のデータ化に成功したら、レールガンや"レーザー"に乗せて、"惑星間移動"に使えますか?」
教授は考え込むように一瞬、間を置いてから答えた。
「それは非常に興味深い提案ですね。技術的には可能かもしれません。
しかし同時に、深い倫理的な問題を含んでいます。
生きるとは何か。
そして、データ化された人間を“人間”と呼んでいいのか。私たちは、その問いに責任を持って答える必要があります」
倫はその言葉に深く考え込んだ。
生きるって、生物ってなに…
倫「教授、心を持ったAIとデータになった人間、それはどちらも人間なのでしょうか?」と彼女は静かにつぶやいた。
「難しい問題ですね。しかし、一つ確かなことは、皆さんがこの技術を学び、発展させることで、その未来が形作られるということです。
未来は、ここにいる皆さんの手に委ねられています」と教授は締めくくった。
その言葉を胸に、倫と杏は教室を後にした。
彼女達の心には、不安とともに、新しい冒険への期待が芽生えていた。
そして、それはただの始まりに過ぎなかった。
--- 今日の用語 ---
レールガン
電磁力を使って高速で物体を射出する装置です。主に軍事利用されることが多いですが、物語ではこれを使って宇宙船を宇宙へ打ち上げる新たな方法として探求しています。
加速膨張(物語中では比喩としても使われています)
宇宙が時間とともに速度を増して拡大している現象です。この理論は、遠くの銀河が私たちから見てどんどん速く遠ざかっていることから導き出されます。科学的な探究心をくすぐる、まさに宇宙のミステリーの一つです。
ニューラル
神経に関連するもの、または人工知能で使われる「ニューラルネットワーク」のことを指します。これは人間の脳が情報を処理する仕組みを模倣したもので、AIが複雑な問題を解決するのに使われます。
レーザー
特定の方向に光を集中して放つ装置です。科学研究から医療、エンターテイメントまで幅広い用途で利用されています。物語の中では、これを使った通信や測定など、さまざまな技術的応用が試みられます。
惑星間移動
ある惑星から別の惑星へ移動することです。技術的な進展により、未来ではこのような移動が日常的なものになるかもしれません。想像力をかき立てられるトピックです。